レピュテーションリスクについて
株式会社吉野家の常務取締役が、大学の社会人向けの講座の中で、「田舎から出てきた右も左も分からない若い女の子を、無垢・生娘のうちに牛丼中毒にする」「生娘のシャブ漬け戦略」「男に高い飯を奢ってもらえるようになれば、絶対に牛丼を食べない」「男性客も家に居場所のない人が何度も来店する」という趣旨の発言をしたと報道されています。
役員が対外的な場所でこのような発言をしたことにより、同社のイメージ、顧客に他する考え方に関する評価が大きく下がり、SNS上でも多くの批判の声が挙げられました。
私も時々吉野家で牛丼に生卵を付けて卓上の紅ショウガとトウガラシをかけて食べたりするので、「家に居場所がない客と思われているのか・・。」と少しイヤな気持ちになりました。(なお、吉野家では牛肉の追加皿があるんですが、これは、あまり量を食べられなくなった私のような人間にはありがたい追加メニューです。と言いますのは、「ご飯小盛りでお願いします。」と注文すると、大抵の飲食店ではご飯の上の具まで少なくされて値段が変わらないことが多いんですね。「ご飯は少なめで、具は減らさないでほしい」というのが「ご飯小盛りで」の趣旨なんですが、具まで減らす店が多いので普通に注文してご飯を残すという食べ方をして、良心を痛めることが多いです。これは余談でした。)
このように企業の評価・評判にマイナスの評価がなされるリスクを「レピューテンション・リスク」と言います。
現代社会では、昔と異なり、SNSが発達し、いろいろなことが多くの一般人により広く拡散されていきます。悪い評判も短時間で広い範囲に広がっていくのです。
そこで、現代においてはこの「レピューテーション・リスク」は重大なリスクの一つと言われており、企業の従業員や役員は情報発信においてこれを回避できるように十分に気をつけないといけませんし、もし問題が発生したときには迅速に対応しないといけません(ケースによっては、むしろ何も対応しないことで沈静化することもありますので、対応方法の見極めが大切です)。
今回の件では、吉野家は迅速に対応し、当該役員を解任しました。会社法上、役員の解任はいつでもでき、その解任に正当事由がない場合は会社は役員に対して損害賠償の責任を負いますが、今回のケースでは会社の信用・評判が毀損されていますから、解任の正当事由が認められるケースだと思います。
現代社会においては、レピュテーション・リスクに常に配慮するよう、意識の改革が必要ですね。
大槻経営法律事務所
〒460-0002
名古屋市中区丸の内2丁目20番2号
オアシス丸の内NORTH8階
9:30~17:30(但し、予約時間は土日も含めて時間外も応談)