人生の最後に幸せなら、いいのでは?
人生は、いろいろ大変なことがあると思います。困難な事案や苦しみに見舞われることもあるでしょう。それでも、弁護士等に相談して解決して、生きていって、人生の最後の時に「色々大変なこともあったけど、最終的には幸せだと思う。」という思いを抱いて死んでいけるなら、幸せではないかと思います。
会社経営上の問題の解決や破産や訴訟、離婚や相続紛争などは大変なことですが、老後に年金をもらいながら穏やかに生きている人もいます。一人で悩まないで弁護士等にご相談ください。スーパースターのような人生でなければ幸せになれないわけでは全然ありませんし、裕福なことが当然に幸せと直結するわけでもないようです。
それはそうと、現代のスーパースターの一人であるイーロン・マスク氏に関する本を最近読みました。桑原晃弥著『イーロン・マスクとは何者か』(リベラル社)です。この本によると、スペースXでロケットを作ったり、テスラで電気自動車(EV)を作ったりしているイーロン・マスク氏は、地球はこのままでは滅びてしまうため、化石燃料の使用をやめて地球崩壊の速度を遅くしている間に、他の惑星、火星に人類が移住できるようにして、人類が滅亡しないようにしたい、という信念(パーパス)を持って事業を行っているというのです。字も大きくて読みやすく、おもしろい本でした。一代で大企業を作り上げた起業家で、まさに現代のスーパースターと呼べる人だと思います。
そのイーロン・マスク氏が、最近、アメリカのツイッター社を買収し、買収後速やかに従業員の大量解雇(リストラ)を行っていることが話題です。その事業再建遂行の迅速さ、苛烈さには驚きます。日本の労働法では、解雇は正当事由がないといけないため、ツイッター社の日本における解雇はすべてが容易には認められないと思われますので、労働訴訟等が提起されるかも知れません(その後の報道によると、一方的な解雇通知ではなく退職協議の申入れだということです)。イーロン・マスク氏が率いる幹部は、解雇する社員を指名して解雇通知(退職勧奨か退職協議の申入れかも知れません)をメールで一斉に送ったようですが、これは、もし日本企業がよく行うような「希望退職」を募っていたら、IT企業の優秀な社員が先に辞めてしまうのは間違いないからでしょう。残ってほしい重要な従業員が辞めてしまったら、何のために買収したのか意味がなくなってしまいます。買収において、被買収企業のコアとなる社員の確保は超重要です。社員は貸借対照表には載っていませんが、社員は重要な財産です。なお、イーロン・マスク氏のように迅速かつ大量解雇がいいんだ、と短絡的に考える経営者の方はまさかいないとは思いますが、それぞれの会社にあった再建の仕方はあるはずで、イ・ソヨン著『PARTNERSHIPマイクロソフトを復活させたマネジメントの4原則』(ダイヤモンド社)では、マイクロソフトが時価総額1位の地位を奪還したのは、競争より助け合い(パートナーシップ)という人事政策を進めたからだとのことです。ですから、イーロン・マスク氏の薄っぺらな真似では、本当の再建はできませんね。言葉だけ偉そうな、大きなことを言うだけで現実の結果を出せない「口だけ大将」みたいにならないように注意が必要だと思います。
ツイッター社の創業者たちは、世界中で民主主義がツイッターを通じて広がっていくといいね、というような思想(パーパス)を持って経営していたようですが、新たにオーナーとなったイーロン・マスク氏は、ツイッター社は言論の自由を不当に制限しているということを言っていたようですので、人権主義的な従来のパーパスから、よりフラットに自由主義的なパーパスに移行しようとしているのでしょうか。最近の株主利益重視の経営からステークホルダー利益重視の経営へという方向性の観点からも今回の買収とその後の対応は興味深いところがあります。そのうち落ち着いてから、詳しく調査・分析して解説してくれる人が現れるでしょう。
上記の本によると、イーロン・マスク氏は、従業員に対して、長時間労働・休日労働など目的達成のために私生活を捨ててついて来い的な厳しさがあるようです。そういうイーロン・マスク氏について行ける若い人たちが働いているようですね。ツイッター社は、社員同士が友好的な関係だったようで、今後そうした社風がどうなるのか、社風が変わったツイッター社の業績はどうなっていくのか、など興味は尽きません。
イーロン・マスク氏は、自分の人生の目標を達成して、幸せだったと人生の最後に思うのでしょうか。きっとそう思うだろうと想像はしますが、富豪が必ずしも幸福ではなかったりするので、私には分かりません。
この日誌は研究論文ではないので気楽に書いていますので、適当に読んでください。いずれにせよ、人生の最後に幸せならいいのではないかと思っていますので、今、会社の経営や企業法務の関係で悩んだり、個人的な生活の中で婚姻関係や相続、債権債務関係、その他問題があったり、問題がありそうなときは、早めに弁護士等にご相談ください。
大槻経営法律事務所
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