法律的思考のくせ
インターネットで、ある法務部員らしき人が、学者の法律書は理論や説明が多くて理解しにくい、手続などの内容を端的に説明した本が望ましい、という趣旨のことを書いていました。
確かに、法律関係者は、法律的な思考のくせのようなものを持っているなぁ、それは世間の思考方法とはズレているなぁと感じました。
我々は、法律の条文を国語的に読解はしません。字面の意味でそのまま単純に受け入れるだけ、ということはしません。では、どう思考するのか、と言いますと、厳密な適用関係を知りたいときは立法趣旨や制定の経緯を調べます。それがくせになっています。つまり、「なぜそうなっているのか。」「何が目的なのか。」という立法趣旨から解釈を進めて、「この場合にも適用があるのか。」等を検討します。
だから、教えるときも、ただ条文の字面や規定された手続を単純に教えるのではなくて、なぜそのような手続になっているのかという立法趣旨も説明しないと、本当の理解はできないと思っているのです。でも、学生や会社の人からすれば、「理屈はいいから、結論を教えてくれ!」という感じかも知れないですね。それはそうですね。
AIが法律の世界にも入ってきています。AIは結論を出してくれるので、重宝されるかも知れないですね。ただ、現在のAIは、結論を出しますが、その理由は明らかにできません。AIには理解力はなく、過去のデータから結論を出しているのですが、どうしてそういう結論になったのかは、誰にも分かりません。それでは、AIの出した結論が正しいのかどうかも判断できません。その結論を盲目的に信頼して、仕事をしていると言えるでしょうか?リスクは回避できますか?
私は、やはり立法趣旨などの理由(理屈)も含めて理解しないと、本当の理解とは言えないと思います。だから、学生に対しても(理解できるのか、ウザいと思われるのかはともかく)理由も含めて講義したいと思いますし、クライアントにも(相手によりますが、必要に応じて)結論の根拠も説明したいと思います。これは、相手の思考力を信頼している(信頼したい)からです。
インターネットを見ていて、ふと考えたことを書いてみました。
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