現地・現物を確認します

『フットワークが軽いです』でも書きましたが、私は事件を依頼されたとき、必要があるときはほぼ即座に(近い日程で)現地・現物の確認に行きます。

例えばやや遠方の土地の境界が隣人から荒らされたときに、相談を受けた日の週末に現地の確認に飛んでいきました。その事件は、現地を確認して確信を持った上で法務局の筆界特定という手続きを申し立てました。手続きの中で土地家屋調査士の先生が調査した境界点(測量の結果予想された)辺りを掘ったところ、地中から杭が見つかって当方に有利な判断(正当な判断)がなされるに至りました。地中から杭が見つかるという劇的な結果に、「客観的な測量は嘘をつかないんだなぁ。真実が発見されるものなんだなぁ」と感心しました。

交通事故の事件でも現場を見に行きます。30㎞で走行して一時停止をしないで優先道路に飛び出して、優先道路を走行中の被害車両に衝突して事故を起こしたという事件(依頼者は事故を起こされた優先道路走行中だった被害者側です)でも、現場を見に行きました。標識を確認したところやはり30㎞制限でした。だから、加害者側は「30㎞で走行していた」(法定速度を守っていた)と主張しているのか、と納得しました。では、30㎞くらいでしか走行できない道路かというと、現地に行ってみると意外と広くてまっすぐな道路だったので、30㎞を相当超過した速度でも走行可能な道路でした。また、加害車両は事故時に被害者の車をフレームを凹ませてひっくり返した上にぶつかったブロック塀を壊しているのですが、被害車両の状況と残ったブロック塀を見たので、これがかなりすごいエネルギーで衝突したことを確認できました。時速30㎞という主張には疑問です。

労災事故でも、写真だけを見てもどうして事故が起こったのか十分には理解できなかったので、現地にいって事故現場を確認し、社長さんに説明していただきました(本当は現場の担当者に聞きたかったのですが、あいにくその日は休日で、社長さんから直接説明を聞きました)。そのおかげで、どういう状況でどんな場所で事故が起きたのか、その事故が通常は起こりにくい事故であること等が理解できました。現地で現物を確認しなければ、そういうことを実感として理解することはできなかったと思います。

現場に行く、現物を見るということは、事件の筋道を見極めるのにとても重要だと思っています。依頼するなら、迅速に事実確認に動いてくれる専門家がいいのではないでしょうか(私だけでなく)。

私がすぐに現場に行きたがるのは、多分、推理小説や警察小説が好きだったからではないかと思います。アメリカの検死官小説で、「アメリカの自動車は床のマットに大量の塩が含まれているが、それは海に行ったからではなくて、ハンバーガー・ショップ等のポテト(大量の塩がまぶしてあります)を車の中でよく食べているから」という話が出てきたりして、「ははぁ。おもしろい」と思ったりした経験があるからかも知れません。現場・現物を見て考察しないと、真相は分からないことがよくあると思っていますし、現地・現物を見ると実感として理解できるという面があると思っています。

偉くなると現場に行かないようになる人も世の中にはいると思いますが、私自身は、こういうフットワークの軽さがなくなったら、自分はもうお終いだろうなぁと思っています。ですから、これからも必要ならいつでも現地・現物の確認に飛んでいきますよ。

大槻経営法律事務所

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