経営が苦しくなったら
中小企業の代表者として、あるいは、個人事業主として、日々経営に取り組んでおられる方が沢山いると思いますが、経営が苦しくなって、日々の資金が減っていって苦悩が続くことがありますね。とてもつらい日々だと思います。
企業経営者や個人事業主は、給与所得者と全然違って、病気による休業補償や有給休暇や失業保険は一切ありません。収入が落ちたら預貯金を取り崩したり、金融機関から追加融資を受けたりするしかなく、誰も補償してくれません。ですから、経営が苦しくなると、日々預貯金がどんどん減っていくのです。本当につらいです。これは、給与所得者である会社員の人や公務員の人には分からない苦悩です。
経営が苦しくなると、つらい日々に追い込まれて、苦悩が続いて、心がひどく沈んで何もできなくなってしまうこともあります。正常な判断はできず、何をやっても無駄な気がして、事態を打開するためのことを何もできなくなってしまいます。
あるいは、債権者から責められて安易な返済約束やごまかしを言っても、結局支払えずにますます責められて、信用もどんどん落ちて、ひどい状態に陥っている人もいると思います。従業員への給料も未払になってしまって、従業員に申し訳ないと思っているが、どうしようもない、というところまで追い詰められている経営者の方もいると思います。
そういう状態になってしまっているのは、破産やそれに類することをしたらどうなってしまうのかということが具体的に分からずに、漠然と不安でそのことを考えたくない、でもどうしたらいいか分からない、ということになっているからだということもあると思います。
そんなときは、弁護士に相談してほしいと思います。破産手続を行っているのは弁護士です。弁護士であれば、破産したらどうなるのか、民事再生という手続や任意整理というのはどういうものなのか、そのメリットとデメリットを具体的に説明できますし、事情を聞いて、どの手続が適していると思われるか、その費用はどれくらいかかるのかまで、分かりやすく説明することができます。
法的手続をしたらどうなるのかを具体的に聞くと、安心できるようで、そこから持ち直していく人もいますし、破産等の手続に対する不安がなくなって清算して新しい人生を始める人もいます。早めに相談すれば、とることができる方法の選択肢がありますし、良い形で軟着陸をすることもできることがあります。従業員の未払給与については、国の機関による立て替え制度もありますし、失業保険のための手続もありますので、そうした手続も法律事務所が行って従業員の損害ができるだけ少なくなるように努力します。破産等する場合の従業員や債権者への告知も弁護士が行いますので、関係者全員が冷静に対応することができるようになります。
破産などの手続を行うには費用が必要ですから、親族や親戚や友人など最後に頼れる人には、事業資金を借りるのではなく、むしろ手続の費用を借りた方がいいです。
一人で悩んでいないで、ぜひ弁護士に相談してほしいと思います。
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債権者が破産手続を信頼していないと、破産申立人(依頼者)を債権者から守れないと切実に思いますので、依頼者には財産隠匿などの不正は一切しないように言いますし、公正な手続に全面的に協力してもらいます。破産等が公正な手続であることに対する債権者の信頼があってこそ、破産申立代理人が「もう破産申立をしたので、破産手続に従ってください。」と言ったときに、債権者が納得して収まってくれるのです。もし破産手続が信頼できないなら、債権者は自力救済をするでしょう。警察も動いてくれないでしょう。そうなってしまったら、破産申立人を守れません。だから、最前線で戦っている弁護士ほど、破産手続が公正であってほしい、破産手続に対する世間の信頼が保たれてほしいと心から願っているのです。
ですので、いかに厳しい債権者がいても、弁護士に依頼していただければ、弁護士が厳しい債権者を抑え込んで、弁護士や裁判所を通じてだけの適正な手続をしてもらうことができます。破産等の裁判所の手続や弁護士による任意整理を依頼する人も、腹をくくって公明正大に行うことに全面的に協力してください。弁護士が適切にサポートしますので、それが自分自身を守ることができる唯一の方法だと思ってください。
とにかく一人で悩んでいないで、弁護士に相談してください。本当に大丈夫です。弁護士に相談して、生きてください。